CLANNAD

朋也「俺たちの夫婦漫才で、通天閣をいっぱいにするんだ」
ことみ「でも…」
ことみ「通天閣は全高103メートルの観光タワーであって、演芸ホールではなかったと思うの」
ことみ「地下一階にある歌謡劇場は、原則として演歌専門だし」
朋也「…つまんないことだけはよく知ってるな、おまえ」
ことみ「最上部のネオンを見ると、明日の天気がわかるの」
…ほう、そうなのか〜 地下なんてあったんだ…


杏「へぇ、めずらしいわね、あんたがあたしに頼みなんて」
朋也「そうだな、大概は逆だしな」
杏「逆?」
杏「あははは、なに言ってんのよ」
杏「別にあたしは頼み事なんてしてないわよ」
杏「あ、命令って好きだけどさ」
…怖い女だ(ぁ


朋也「これ、何の魚なんだ?」
ことみ「サワラ」
ことみ「ご近所の魚屋さんで、切り身を安くしてくれたの」
目を輝かせながら言う。
ことみ「いいのが入ったから買ってきなって、すすめてくれたの」
朋也「ふーん、そりゃ得したな」
新婚夫婦の会話のようだ、などと思う。
ことみ「学名はスコムペロモルス・ニフォニウス、英名だとスパニッシュマックレルなの」
思ったとたんに怪しくなる、新婚夫婦の会話。
ことみ「スズキ目サバ科の回遊魚で、温帯の海に広く分布しているの」
朋也「なるほど、そりゃ顔が広いな」
ことみ「出世魚だから、成長するにつれてサゴシ、ヤナギ、サワラと名前が変わっていくの」
朋也「そうか、彼も努力家だなあ」
ことみ「漢字で書くと、魚偏に春なの」
朋也「彼にはお似合いの季節だな」
ことみ「魚偏に秋だとカジカで、魚偏に冬だとコノシロなの」
ことみ「でもね、魚偏に夏はないの」
ことみ「とっても不思議…」
絶好調で飛ばしまくることみ。
合わせて乗るのが辛くなってきたので、反撃に出ることにする。
朋也「…マグロは魚偏に?」 ことみ「魚偏に有る」
朋也「カツオは?」 ことみ「魚偏に堅い」
朋也「イワシは?」 ことみ「魚偏に弱い」
朋也「シャチは?」 ことみ「魚偏に虎」
朋也「クジラは?」 ことみ「魚偏に京」
朋也「すごいぞ。お魚なんでも博士だな、ことみは」
わしわしと頭を撫でてやる。
ことみ「ええと、そんなこと、ないの」
父親に褒められた子供みたいに、無邪気に照れながら笑う。
ことみ「最後のふたつは魚類じゃないし」
…嫌な子供だった。
…最後のふたつは魚類じゃないってのはわかった。朋也、結構漢字知ってるじゃんw